一般企業で増加している雇用者からの訴訟事件 医療機関も決して例外ではありません。

過労死や、セクハラ・パワハラ裁判等、従業員が経営者を相手取った訴訟事件は近年増加の一途を辿っております。

訴訟事件が増加した背景として、労働環境や経済状況の変化などによる経営者側の問題もありますが、労働者が泣き寝入りしなくなったこと、そして、これまでの業務災害における裁判の判例が増えたことにより、弁護士が積極的に労働災害の裁判に取り組むようになったことがあります。

医療機関でも同様で、雇用しているスタッフからの業務災害による訴訟も見逃せない状況となってきています。
人を雇っているわけですから、この点は一般企業となんら変わりありません。

「労災なら保険が下りるじゃないか」
「スタッフの労働に関しては労度基準法を守ってやっている。」
「訴えられても、弁護士がいるから大丈夫」

このようにお考えの理事長様・院長様は多いと思いますが、「スタッフからの訴訟」「業務災害による訴訟への対策」 という点ではいかがでしょうか?
もし、訴えられた後の損害賠償の支払いが高額なものだとしたら、貴院では対応できるでしょうか?

今後起きるかもしれない業務災害による訴訟について、3つのケースをご覧下さい。

職場でスタッフがうつ病と診断され休職。 その間に訴訟を起こされ慰謝料を請求されてしまった。

スタッフの一人が、職場での業務でストレスによるうつ病と診断され休職となったケースを考えてみましょう。

通常「労災」と言えばケガなどをイメージしますが、ここ数年は精神障害による労災の請求件数が増えてきております。

労災と認定されれば所定の補償がなされますが、それだけでは納得いかず、弁護士を通じて貴院へ管理体制の責任に問題があったとして慰謝料や損害賠償の請求の申し立てがあったとしたら…?
さらに裁判等により支払い命令の判決が出たら…?



上記のグラフをご覧下さい。

グラフのオレンジ色と赤色の合計が労災差額リスク、つまり労働者から損害賠償等で請求される金額になります。
その中で赤色の部分が労災として支払われるものとなりますが、全体の一部でしかありません。
つまり、政府労災は損害賠償や慰謝料までフォローしておりません。

治療に掛かる費用は保障されていても、雇用責任上での損害賠償や慰謝料は貴院での負担となるわけです。

休職ではなく、退職したスタッフが医療機関を訴えるケースも大いに考えられます。

「それはありうる話だ」
「これに近い話が過去にあった」
とおっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

現在は弁護士の数も増え、一般市民が相談しやすい環境となっています。
「自分は被害者である」と考えるスタッフの立場を考えると、相談⇒訴訟という流れは当然増えることになります。

私たち一般社団法人メディカルリスクコンサルティングは、医療機関におけるリスクマネジメントを行っております。
その中で経営を左右しかねない「労務災害」への対策は重要であると考えております。

その発言はアウト? あなたの何気ない一言がセクハラで多額の損害賠償に。



医療機関で働くスタッフの多くは女性であり、女性によって支えられているとお考えの理事長・院長様も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

多くの医療機関では院内でのセクハラ規定や、発言を控えるよう様々な対策を独自に行っておりますが、一般企業と比べるとまだまだ「甘い」業界であることには変わりありません。

一番の理由は、人の体に直接触れる職業柄、「身体に関する話題」への免疫力が一般企業に比べて格段に高い環境にあるからです。それゆえに性的な話題も身体の話の延長と考えればさほど抵抗がないと言えるのではないでしょうか?

しかしながら、それを良しとしていいか、となると決してそうではありません。

「○○さんって、本当にスタイルがいいね。」
「□□さん、本当に色白だよね。」
「△△さん、彼氏いないの? 1人で夜何して過ごしているの?」

言葉を発した側にやましいことなかったとしても、受け取った側が「セクハラ」と受け取れば、それはセクハラになります。

次に、経営者が知らないところでスタッフ同士の男女間のもつれ、不倫が判明し、嫌がらせを受けて退職に追いやられたスタッフからの復讐として訴訟などのケースを考えてみましょう。

個人間の問題として処理したつもりでも、「貴院の労務管理が疑われる」としてスタッフや、スタッフの配偶者から提訴された…となった場合、使用者責任として損害賠償や慰謝料の支払いが発生します。そうなったら該当するスタッフだけの責任、彼が全て支払えばよい、という問題では済まされなくなってしまいます。

セクハラだけでなく、近年では「パワハラ」「不当解雇」も社会問題となっています。
業務態度が悪いスタッフを注意しただけで訴えられた、という笑えない話も現実に起こってきているのです。

これらの相談は年間で100万件以上発生しており、社会問題として、決して無視できない問題です。

労働環境、労務管理に関する訴訟が増えてきている現在、スタッフの不注意で発した一言に多額のお金をお支払いできる余裕が貴院にはおありでしょうか?

私たちにご相談頂ければ、これまでに発生した事例のご紹介や、院内でのセクハラ・パワハラに関する意識向上のための勉強会実施、経営者への訴訟リスクマネジメントなどをそれぞれの視点に立って行います。
お気軽にご相談下さい。

大地震でスタッフが死傷。ご遺族からは損害賠償。 貴院での天災リスクは本当に十分ですか?



東日本大震災により、多くの方がお亡くなりになられました。

中でも津波による被害は、これまでにない大規模な範囲で人や建物に被害を与える結果となったことは皆様の記憶に残っていることでしょう。

その中で、被災地で起こっている「七十七銀行女川訴訟」を皆様ご存知でしょうか?

震災発生時、支店長の指示で職員は高さ10メートルにある建物の屋上に避難しました。
ところが津波は建物を上回る高さであったため、職員は全員津波に飲み込まれてしまったというものです。
後に遺族が銀行を相手取って訴訟したことにより、「スタッフの安全管理」という面からの経営者の災害時のリスクがクローズアップされることになりました。

政府労災では地震や噴火、それらに伴う津波などによる業務上の負傷も労災として認定する方向になりつつありますが、事故死による「安全配慮義務違反」としての慰謝料や損害賠償は補償されません。

つまり、ご遺族からの訴訟については経営者側の責任として支払いが生じるわけです。

医療機関として、建物には保険を掛けていたとしても、スタッフへの見舞金・弔慰金、損害賠償等の特約までついていなければ、多額の支払いが発生してしまいます。

震災発生以降、院内の災害対策に力を入れている医療機関は多くなりました。
しかしながら、災害時のスタッフに対するリスク対策まで…という経営者は少ないのが現状です。

さらに、経営者として求められることが、「医療機関そのものの維持」です。
災害発生時でも継続して業務が遂行できるよう、備品を確保するためのルートを決定したり、職員や家族が安全に生活できる環境などの確保などを定めたBCP(「Business Continuity Plan:事業継続計画」) も当然必要となってきます。

もしものために掛けるのが地震保険だとすれば、スタッフのためにも何らかの「保険」は必要です。

政府では「南海トラフ」の巨大地震が今後30年以内に起こると予測を発表したことも記憶に新しいことでしょう。いつ大きな地震が起きてもおかしくありませんし、現在日本国内の至る火山でも活発化しており、大規模な災害が発生することも多いに考えられます。

地震・火山の国だからこそ、「起こりうるリスク」に目を向けるべきではないでしょうか?

安定した医療機関の経営のために、労働災害・業務災害へのリスクヘッジを!

本ページに記載されていることを、「ウチは大丈夫!」とお考えの理事長・院長様であれば、そこで働くスタッフも安心して日々の医療行為や業務にあたることができると思います。

しかしながら、スタッフを取り巻く労働環境は日々変化を続けています。
人間関係も常に良好というわけではありません。
災害もいつ起こるか分かりません。でも、いつか発生します。

良好な人間関係に見えても、それは表面上の話であり、小さなほころびから取り返しのつかない大問題になる可能性は十分に起こりうることだけは皆様の胸に留めて頂きたいと思います。

日本も「訴訟社会」になりつつあります。

スタッフもインターネット等を通じて、「泣き寝入りしない」ための方法を学び、法律相談にも気軽に足を運ぶようになりました。

それでも貴院は本当に大丈夫でしょうか?

上記より、スタッフを雇用している以上、スタッフからの訴訟・業務災害への対策は医療機関としてでなく、一事業者、経営者として当然のものであると私どもは考えております。

一日も早く、私たちと一緒に自分の医療機関を守る方法を考えましょう。

ページTOPへ